きまぐれレビュー 3
南の子供が夜いくところ
恒川光太郎/著 角川書店 1,470円(税込)
島に一本しかない紫焔樹。森の奥の聖域に入ることを許されたユナは、かつて〈果樹の巫女〉と呼ばれた少女だった……。
呪術的な南洋の島の世界を、自由な語りで高らかに飛翔する、新たな神話的物語。
恒川光太郎作品には共通して、日本古来からある『カタリ』を感じさせる“光と裏腹に存在する闇”の魅力があると思う。
この世とあの世以外のもうひとつの狭間を彷彿とさせる呪術的な世界と、自分も含まれている現実の世界。
現実には不可能な、それらを行き来する自由は、自分がもっとも欲していたものだった。
(本文が、本の雑誌 本屋大賞2011の冊子に掲載されました)
2011,5,5 長女 |